肩脱臼の手術の主流はこの2つ 専門医が解説

この記事は3分で読めます

「肩の脱臼が癖になってしまった・・・」

「もう諦めるしかないのか?」

いいえ、諦める必要はありません。

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こんにちは、スポーツ整形外科医の歌島です。。
SMCの記事をご覧いただきありがとうございます。

前回、肩の脱臼が癖になってしまう理由について、
できるだけわかりやすく解説したつもりですが、
いかがだったでしょうか?

肩の脱臼は癖になる? 専門医が解説します

そのメカニズムをご理解いただいた上で、
肩の脱臼が癖になった状態を、
どのように治すのか?

今、主流となっている2つの手術
わかりやすくお伝えします。

手術1:剥がれた「壁」を縫って修復する

まず、前回の復習です。

肩関節が脱臼しやすく、そして癖になりやすい理由として、

  • もともと受け皿になる肩甲骨関節窩が浅い
  • 一度脱臼してしまうと脱臼を防ぐ「壁」がダメになる
  • その「壁」とは「関節唇」と「靭帯」である

ということでしたね。

こういったイラストもお示しいたしました。

脱臼前 関節窩_関節唇_関節上腕靭帯

※画像引用元:
Philipp N et al:Anterior Glenohumeral Instability: A Pathology-based Surgical Treatment Strategy. AAOS 2014

脱臼後

バンカート病変

※画像引用元:
Philipp N et al:Anterior Glenohumeral Instability: A Pathology-based Surgical Treatment Strategy. AAOS 2014

そして、この剥がれた「壁」をシンプルにしっかりと縫ってしまって
外れないための「壁」を修復しましょうというのが1つめの手術です。
バンカート修復術
※画像引用元:
Philipp N et al:Anterior Glenohumeral Instability: A Pathology-based Surgical Treatment Strategy. AAOS 2014

前回、この「壁」がダメになった状態を、
Bankart(バンカート)病変と呼ぶと言いましたが、

この手術自体も、そのまま
Bankart(バンカート)修復術という名前で、
最も多くやられている手術です。

これまでもたくさんの手術法が開発されてきました。

しかし、やはり、
「できるだけもとの状態に戻したい!」
そう考えるのは患者さんも医師も同じです。

それに一番近いのがこの手術だと言えるでしょう。

特に今は関節鏡と呼ばれる内視鏡を使って、
小さい傷でやることが多いです。

これは傷が小さいのもそうですが、
筋肉に対するダメージも少なくできるので、
スポーツ選手にも非常に有用なんですね。

こちらの動画は英語ではありますが、
非常に美しいビジュアルで説明してくれているので、
参考になればと思います。

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手術2:骨を移植して「壁」を新たに作ってしまう

手術1(バンカート修復術)は、
できるだけもとの状態に近づける方法でした。

言い換えれば、
完璧に元通りにはならないですし、
もちろん、元より強くなることもないわけです。

手術をしても5-10%くらいの確率で、
再度脱臼してしまうんです。

そして、アメリカンフットボール、サッカー、ラグビーなど
コンタクトスポーツやコリジョンスポーツと呼ばれる、
激しい衝突が起こりうるスポーツでは、
この再脱臼の確率はさらに上がってしまいます。

ですから、よりガッツリ、
「もとの状態とは変わってしまってでも」
多少のコンタクトでは外れないことを最優先とする場合には、
この手術2が選択されることが多いです。

これは「烏口突起」と呼ばれる骨を
筋肉付きで切り取って、前の壁として、
「受け皿」である「関節窩」に
スクリューで固定して
移植してしまうというダイナミックな方法です。

Latajet_烏口突起 Bristow

※画像引用元:
整形外科手術イラストレイテッド 肩関節の手術 初版 中山書店

 

名前で言うと、
Latajet(ラタジェ)法というものと、
Bristow(ブリストー)法というものが多くやられています。
(この2つは移植の方法に少し違いがありますが、
大きくみて同じような方法と考えていただいていいです)

この手術では再発として完全脱臼は0%
亜脱臼(自分ですぐ戻せる脱臼)が4%というデータの報告があり、
バンカート手術よりも再脱臼のリスクは減らせることは、
多くの専門医の共通する意見です。

Schmid SL, et al: The Latarjet procedure for the treatment of recurrence of anterior instability of the shoulder after operative repair: A retrospective case series of forty- nine consecutive patients. J Bone Joint Surg Am 2012

こちらも参考動画をご紹介しておきますね。

どちらの手術を選べばいいの?

今の主流の2つの手術をご紹介いたしましたが、
結局どちらを選べばいいか?

という疑問があるかもしれません。

それはもちろんケースバイケースなんですが、
一つの目安として、

手術1を選んだほうがいい条件
  • 激しいスポーツではないケース
  • 脱臼を回数が少ないケース
  • レントゲンやCT検査で骨があまり傷んでないケース
手術2を選んだほうがいい条件
  • コリジョンスポーツ(衝突の激しいスポーツ)
  • 手術1でも再脱臼してしまうケース
  • レントゲンやCT検査で骨がかなり傷んでるケース

これらを考慮に入れて、
主治医と相談していただくことになります。

ちなみに
アメフトやラグビーでは、

「改造人間でもいいから、絶対に外れない肩にしてくれ!」

とでも言わんばかりの勢いで、
手術2の骨移植を最初から選択するケースが増えてきています。

しかし、個人的な意見としては、
まずは可能な限り
「もとの状態に戻し、
再脱臼しないフォームやテクニックを磨くことで、
それが競技力向上にもつながる」

そういう考え方でいますので、
いきなり手術2を選ぶことには慎重でいたいと思っています。

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少しでも参考になれば幸いです。
お気軽にシェアもしていただければと思います。

ではでは!

参考記事:

肩脱臼の整復方法と応急処置を専門医がまとめます

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