野球肘の症状 内側型と外側型 専門医がわかりやすく解説

この記事は4分で読めます

こんにちは、スポーツ整形外科医の歌島です。。

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突然ですが、
野球選手に多い怪我の部位はトップ3はどこだかご存知でしょうか?

おそらく予想通りかと思いますが、

なんですね。

野球は打つにしろ、投げるにしろ、
腰をひねる動作ですし、
ゴロを捕るには腰をかがめなくてはいけません。

そういう意味で腰に負担がかかりますし、

また、投げることにおいて、
圧倒的に、どうしようもなく負担がかかってしまうのが、
肩と肘なんですね。

ですから、野球肩と野球肘という名前がついてしまうわけですが。

時々、ご両親や指導者の方に

「この症状は野球肘なんですか?」

という質問をいただきます。

ここで野球肘とはなんぞや!ということを、
医者らしく、難しい言葉でも並べて話せると
カッコイイのかもしれませんが、

「野球のやりすぎで肘が痛ければ、
野球肘です」

と、元も子もない答え方をしちゃってるのが現状です。

でも実際そうなんですね。

野球肘にはいろいろな傷める場所、原因があって、
それぞれをまとめて野球肘と言っているので、
野球をやりすぎて(多くは投げすぎ)痛みが出ているのなら、
野球肘なんです。

その中でも中心的な「内側型」の野球肘と、
「外側型」の野球肘について、
実際は何が傷んでいて、なぜ傷んじゃうのか?
ということを解説してみたいと思います。

内側型:肘の内側が痛い!

多くの選手がこの内側の痛みから始まります。
内側のどこが痛みを出しているのでしょうか?
その場所の触り方を解説してみたいと思います。

まず、一番内側に出っ張っている骨が触れると思います。

それが「内側上顆」と呼ばれる骨の突起(でっぱり)です。

内側上顆

この内側上顆は非常に大切な骨で、
役割は大きなもので以下の3つです。

  1. 靭帯(内側側副靭帯)がくっついているところ
  2. 筋肉(手首と指を曲げる)がくっついているところ
  3. 神経(尺骨神経)が後ろを通る

 

このうち、特に野球肘に重要なのが、

 

1番の「靭帯がくっついているところ」という役割です。

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靭帯(内側側副靭帯)がくっついているところ

この「内側上顆」という骨には靭帯がくっついています。

靭帯というのは、筋肉よりも硬い筋張ったものです。
一番の役割は肘がおかしな方向に動かないようピーンと張ってます。

そして、この内側上顆にくっつくのは、
「内側側副靭帯」と呼ばれていますが、
内側側副靭帯_肘
この靭帯は肘の関節の内側が開いてしまうのを防ぎます。
(これを外反と言います)

ここまでが1番目の靭帯についての、
基本的な説明です。

この靭帯は多くのプロ選手も傷めてしまって、
メジャーリーガーが続々と手術を受けています。

それだけ投げる動作において負担がかかる靭帯が
「内側側副靭帯」なんですね。

 

どのタイミングで負担がかかるのか?ということですが、

それは、ボールをリリースする直前の、
いわゆる「腕が一番しなっている」辺りです。

この「腕がしなる」ということですが、
力の向きとして、
どうしても肘の関節の内側が開こうとするんですね。

それもレベルが上がれば上がるほど、
高速で腕がふられますから、かかる力も大きいわけです。
この時点で肘の痛みを感じる人が多いのもうなずけます。

また、大切なポイントとして、

  • 肩や肩甲骨の動きが悪い人
  • インナーマッスルが弱い人
  • 肘が下がってしまうフォームの人

これらの人の場合、
この肘の内側が開こうとする力が
大きくなってしまうと言われています。

外側型:肘の外側が痛い!

外側の痛みは特に野球少年で気をつけたいところです。
そして、もっと言うと、
外側に関しては、痛みが出る前に
傷ついている場所があれば見つける必要があります。

それはなぜかと言うと、
この外側の痛みの原因の多くは、
「上腕骨小頭離断性骨軟骨炎」という
放っておくと、どんどん肘の軟骨がやられてしまう、
非常にやっかいなものがあるからなんです。

これは最初は痛みが出ないことが多いんですね。

そして、その時点でしっかりと投球をやめて、
治しておかないと、
気づいたら、手術しなくちゃいけない状態になっている。
そんなことがよくある話なんです。

ですから、最近では「野球肘検診」ということで
超音波を使って、
この「上腕骨小頭離断性骨軟骨炎」がないかを
チェックするという活動が広まってきています。

ぜひ、ご自身の地域でもやられていないか
チェックしてみてください。

この外側の痛みの原因である、
「上腕骨小頭離断性骨軟骨炎」について、
できるだけシンプルにお伝えします。

まずこの難解な病名を分解しちゃいましょう

上腕骨小頭離断性骨軟骨炎

上腕骨(じょうわんこつ):
これは大丈夫ですね。肩から肘までの骨です。

小頭(しょうとう):
これがなじみないと思うのですが、解剖のイラストではここです。

上腕骨小頭

小さい頭みたいな形をしていて、
軟骨で覆われています。

離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)
これは関節の軟骨とその奥の骨が、
いろんな原因で弱って、脆くなってしまって、
最終的には剥がれ落ちて(関節のネズミと呼ばれる欠片になります)
軟骨がどんどん磨り減ってしまうことになります。

この外側型の野球肘の原因はいろんな説があって、
まだ決着はついていません。

ただ、ひとつの関与しているであろうことは、
さきほどの「内側の痛み」で出てきた、

肘の内側が開くような力、動きなんですね。

それはなぜかと言うと、
シンプルに考えていただくと、
肘の内側が開くように動くと、外側はどうなりますか?

そうなんです、閉じるように動きますよね。
そうすると、かなり外側には衝撃が加わることは
想像できます。

つまり、腕がしなるような動きの時に、

  • 肘の内側には開くような動き、力が加わり、
    それを食い止める靭帯が傷む
  • 肘の外側には閉じるような動き、力が加わり、
    その衝撃をダイレクトに受ける上腕骨小頭の軟骨が傷む

 

そういうメカニズムが野球肘の基本メカニズムなんです。

結局、腕がしなる時がポイント

以上のように考えていくと、
「内側型」でも「外側型」でも、

腕がしなった時に肘に負担がかからないように
することが大切だということがわかります。

そして、しなった時に負担をかけないために、
間違いなく大事と考えられているのが、

「肘を下げない」

ということなんですね。

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次回は、この「肘が下がる」ことが、
なぜ野球肘の原因になってしまうのか?
ということについて解説いたします。

いかがでしたでしょうか。
少しでも野球肘の理解が深まってくれれば幸いです。
もしよろしければ、お気軽にシェアしてください。

ではでは!

変わる快感クラブ野球

診察ご希望の方
当サイト管理人 歌島 大輔

スポーツ整形外科専門医師

川崎市立井田病院
景翠会 金沢病院
さくら通り整形外科

各非常勤医師

関東の複数病院において外来診療・手術を行っている。
ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

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