手術の縫合方法まとめ 整形外科専門医の備忘録

この記事は3分で読めます

整形外科の手術はある意味、糸をいかにうまく扱うか?ということにかかっている部分があります。

特に軟部組織を扱う手術が多い肩や手の手術ではさまざまな縫合方法を使います。僕も毎週のようにやる術式もあれば、年に数回しかやらない手術などもあり、その場合は事前に復習をします。

とくに縫合方法はど忘れしてしまう・・・わけにはいかないので、術前に確認をしておくことがあります。その備忘録として残しておきます。

似たような境遇の整形外科医の先生方にも役に立てば幸いです。

こんにちは、スポーツ整形外科であり、コーチングドクターとして活動している歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

Interlocking suture 連続縫合(ロッキング)

Interlocking sutureは連続縫合のひとつで、一回一回ごとに糸のループの中に針糸を通すことでロックして、一回一回締め込むことができる縫合法です。

具体的にはまず1回目の結節縫合のように糸を通して、通常のように縫合し、針がついていない側の糸を短く切ります。そして、次の結節縫合をし、その次の結節縫合をするときに、糸のループに針糸を通すことでロックをします。

Mason-Allen suture

Mason – Allen sutureは肩の腱板断裂の縫合などに使う方法です。腱板に糸を通しても、スジですから、線維がちぎれてかけた糸が外れてしまう(いわゆるチーズカット)状態が危惧されるわけですが、そのチーズカットを防ぐための工夫がMason – Allen sutureです。

Modified Mason-Allen stitch (Reprinted, with permission, from: Gerber C, Schneeberger AG, Beck M, Schlegel U. Mechanical strength of repairs of the rotator cuff. J Bone Joint Surg Br. 1994;76:374). Alberto G. Schneeberger et al. J Bone Joint Surg Am 2002;84: ©2002 by The Journal of Bone and Joint Surgery, Inc.

具体的には腱などの組織断端に上から下に糸を通し、さらに水平マットレス要領で横にずらして下から上に糸を通し、その糸を最初の上から下に通す前の糸の下を通して、再度上から下に通します。

それによって線維方向に引っ張る糸を横切る糸の流れができて、チーズカットを防ぎやすくなります。

Krakow suture

Krackow縫合は腱や靭帯のようなスジの断端に強固に糸を連続でかけていってちぎれないようにする縫合方法です。
僕の場合は上腕三頭筋の肘頭剥離骨折や肩鎖関節脱臼の靭帯移行でよく使う縫合方法です。

具体的にはスジの断端に近いところの下から上に糸を通し(スジの半分より右か左に)、さらに断端から遠いところに下から上に通すことを繰り返しますが、そのときにbaseball stitchのように糸のループの中を針糸を通すことでロックしながら連続縫合し、今度は半分より右か左に逆方向に上から下に、断端から遠い方から近い方にロックをしながら連続縫合をしていきます。そうすると強固にスジに糸がたくさん通った状態で糸の両端がスジの断端から出ている状態になります。

Interlacing sutre(編み込み縫合)

Interlacing sutureはよく手の外科領域の腱の移行術で使われる縫合方法です。腱と腱を編み込むように縫うことで強固に腱を合体させるようなイメージです。

画像引用元:整形外科 Knack & Pitfalls 手の外科の要点と盲点 – 文光堂

 

具体的には腱に小さな穴をあけ、もう一方の腱を穴に通します。これを最低2回繰り返し、腱を穴に通した前後、通した部分で糸による縫合を加える方法です。

まとめ

この記事はどちらかと言うと僕の備忘録ですが、他の先生にも役に立つことがあるかもしれないと思ってアップしました。

もし、もっといい縫合法があるよとか、ここはこうやったほうがいいよとか、アドバイスや意見があればコメントでも問い合わせでもいいのでお寄せください。どんどん反映させていきたいと思います。

診察ご希望の方
当サイト管理人 歌島 大輔

スポーツ整形外科専門医師

川崎市立井田病院
景翠会 金沢病院
さくら通り整形外科

各非常勤医師

関東の複数病院において外来診療・手術を行っている。
ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

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