目標がないことに悩む人へスポーツ医が出す3つの処方箋

この記事は6分で読めます

目標設定の重要性が叫ばれる中、逆に目標なんて設定しても未来は未確定ななんだから、目の前の課題を一つ一つ全力でやるしかないんだよという声も聞こえてきます。

特に2018年の平昌オリンピックで大活躍、銀メダルを獲得した宇野昌磨選手のインタビューでこの目標設定についての考える機会を得られた人も多いのではないかと思います。

僕は日々コーチングというものを実践する中で目標というか、ゴールと表現していますが、このゴール設定は何より重要と話しています。それと目の前を一つ一つやることの重要性、これは相反するようで、そうとも言えないということも含めて解説してみたいと思います。

こんにちは、整形外科医でスポーツメディカルコーチの歌島です。本日も記事をご覧いただきありがとうございます。

それではいきましょう!

「目標設定をせずに目の前のことを一つ一つやること」

「次のオリンピックのことを重要視していない」

2018年平昌オリンピック後の
宇野昌磨選手の言葉です。

他にもオリンピックは
他の大会とあまり変わらない
というコメントを残して

批判とまではいかないまでも

一部の人から
「新人類」なんて呼ばれてしました。

櫻井翔さんの理解と解釈、そして共感

それに対して嵐の櫻井翔さんが
こういったコメントに対して
フォローになるような問いかけをしました。

嵐・櫻井翔が行った宇野昌磨選手へのインタビューにネットから称賛の声「違う解釈してた…」「ちゃんと理解」
https://e-talentbank.co.jp/news/52293/

これに櫻井は「私でいうと」と前置きながら「目の前のことを一つ一つやることでしか、その先の道は開けないな、というような感覚があったんですね」「宇野選手にとっていかがですか?」と、実体験を交えながら宇野選手の言葉を引き出そうとした。

宇野選手は「本当にその通りで」と、櫻井の言葉に共感を見せ「周りが言うから僕もオリンピックってすごい言ってたのもあるんですけど、それからちょっといろんなことを覚えて」「いつしか目の前の試合にどんどん集中していけば、結果的に今に至るなって思いますね」と、オリンピックだけを特別視しているわけではなく、すべての試合に同じ気持ちで挑んでいるのだと明かした。

櫻井翔さんは僕と同い年で、
櫻井さんの出身大学の病院で修行しましたから、
なんとなく親近感があります。勝手に。

今回のインタビューも
「やるなぁ」
と素直に思いました。

「目標設定をせずに目の前のことを一つ一つやること」はコーチング的には?

さて、この

「目標設定をせずに目の前のことを一つ一つやること」

これはコーチング的にどうなのでしょうか?

 

 

コーチングではゴール設定を何より重視しています。

ゴールを設定しないと現状維持以下がゴールになってしまうからですね。

では、この目標設定はせずに
目の前のことを一つ一つやる

はまちがっているのでしょうか?

コーチングの理論と矛盾するのでしょうか?

できるだけ理論はシンプルに

というのが大切ですので、

「目標設定をせずに目の前のことを一つ一つやること」

は真似しないでほしいと思っています。

「目標設定をせずに目の前のことを一つ一つやること」はコーチングと矛盾はしない

あれだけやりたいことをやって人の憧れになっている彼ら(宇野選手や櫻井さん)は成長しているし、成功していると思います。

そして、厳密に言うと、目の前のことに集中することとゴール設定を重視するコーチングは矛盾はしておらず、

宇野昌磨選手も櫻井翔さんも
自然と設定できているゴールが
彼らの中にあって、

それに向かって一つ一つ丁寧にやっているだけ。

ただ、そのゴールは
宇野昌磨選手の場合はオリンピックではなく、
例えば、宇野昌磨選手が
思い描く演技なのかもしれません。

とすれば、オリンピックを重視していない
というのも頷けます。

全てはゴール次第です。(口に出すか出さないか、認識しているかしていないかは別にして)

「目の前のことを一つ一つ」だけだと過去の延長線上から抜け出せない

矛盾はしていないけれども、
真似しないでほしいと言う理由を説明します。

「目の前のことを一つ一つ」

これは現実的かつポジティブで、
素晴らしい心がけのように見えます。

しかし、

ゴール設定がしっかりできていない場合、

目の前のことは

過去の延長線上として現れた現状です。

この目の前のことに集中すればするほど、

過去の延長線上で生きることになります。

要は変われないと言うことです。

もしくは、

目の前のことは過去の延長線上とは言え、
周りの環境は目まぐるしく変わりますから、

(自力では)変われないか、

(周りの環境に)変わらされるか、

このどちらかの人生になります。

 

 

このブログを読んでくださっている方はみな、

自ら望むように変わりたい

という願いが少なからずあると思うので、
真似はしてほしくない

ということなんですね。

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将棋の藤井聡太さんの目標(ゴール)設定

この宇野昌磨選手や羽生結弦選手をはじめ、
オリンピック勢の陰に
若干隠れた感がありますが、

将棋の藤井聡太さんも2017年から2018年にかけて
様々な快挙を成し遂げました。

この藤井聡太さんの凄さは
どこにあるのか?

師匠にあたる杉本さんの解説がありました。
https://shuchi.php.co.jp/article/4726

藤井に関しては、間違いなく踏み込むほうを選びます。「なぜここで、あえてこんなに危ない手を指すのか」と驚くくらい踏み込んでいく。無難なほうを選んでおけば負けにくいし、相手が間違う可能性もあります。そうすれば、もっと簡単に勝てるのです。
危険な手を選ぶと、まず一手一手慎重に指し手を読まなければなりません。安全な手を選べば均衡な状態を保てますが、危ない手はすぐに決着がつく。そのぶん恐ろしい思いもします。藤井は私が初めて会ったときから好んでそういう手を選んでいました。
「危なそうだ」とひるんだり、「負けたらどうしよう」と恐れたり、「とりあえず安全策を取ろう」と消極的にならず、最短で勝ちにいく。邪念を交えずに自分の限界に挑戦する将棋です。

中略

たとえ守りが薄くても、指し手を見れば、藤井が自分を信じていることがはっきりわかります。「この手を選んだら間違えるのではないか」とか「間違えたら負けてしまうのではないか」などと考えず、踏み込むことにためらいがありません。

 

これは参考になります。

コーチング的に言うと、

藤井聡太さんはもっと先を見据えた、
もっともっと強い自分を見据えているので、

安全策を取って
目の前の試合さえ勝てればいい

という選択肢はないのだろうと思います。

もっともっと強い自分を見据えているので、
リスクが高い攻め方を
慎重に進めることで、
勝ちきることができるという

まさにこれほエフィカシーの高さゆえ
攻め方になっているということですね。

(エフィカシーについてはこちらもご参照ください)

おそらくリスクが高い攻め方をして
負けてしまったとしても、

「本当はもっと強い自分」
を思い描きながら、

「もっと精進しないと…」的な
謙虚なコメントを出し、

攻め方そのものは何ら後悔がないのではないか

と推測できます。

藤井聡太さんは
これからも様々な躍進を遂げる人ですし、
まだまだ掘り下げたいところがあると思います。

その中の1つは

安全策を取らない攻めの姿勢の背後にある
高いエフィカシー

なのだろうと感じました。

目の前のことに集中するというのは、言い方を変えると
目先の勝利しか見ないということになるかもしれません。

ということは、目の前のことを一つ一つ・・・
だけではなし得ない境地に藤井さんは立っているのだろうと思います。

目標がない人が見つけるための3つの秘訣

さて、ここまでのお話で特に強調したいのは、

目標はやはり大切で、
目標を意識していないで目の前のことに集中しているように見える人も、

結局、自分の中で確固たるゴールをもっている。

ということです。

では、「自分には目標がない・・・」
と悩んでいる人はどうすればいいのでしょうか?

そういった人たちのための処方箋として3つ、ご紹介いたします。

目標ではなく妄想から始める

まず「目標」という言葉のイメージが良くないと僕は思っているんですが、目標というと現実的に達成可能という条件が含まれるように思います。

しかし、実は目標ではなく僕らコーチング理論実践者が使う言葉である「ゴール」は実現可能性なんてものは全く重視しません。

それどころか、達成方法がわかるような「現実的」な目標は正しいゴール設定ではないとしています。

それは現実的な目標設定では、脳内の情報処理のプロセスからは結局「現実」、「現状」を強め、現状維持を続けるような、過去からの延長線上の人生を生きさせるような力が働いてしまうからです。

現実的な目標が変われない自分を作っている

これは重要な考え方です。

その考え方にのっとって、目標を設定すると、最初の取っ掛かりは「妄想」でいいということなんです。

「こうだったらいいなぁ」

「こんな自分は最高だなぁ」

ということを自由にイメージしていみることからはじめて、かつ、それを否定しないということを徹底してみてください。

多方面の人生の側面について考える

もう一つのポイントは目標やゴールを設定する軸は無数にあるということです。

人生においても人は多面的な要素を持っています。

家族の一員としての自分、地域の一員としての自分、仕事、趣味、老後、健康、精神的な面、経済面・・・

これら様々な面において、出来る限り多方面にわたるゴールが必要です。

1つの軸だけのゴールを追いかけているとバランスが崩れ、結局、どれもうまくいかないということが起こりえます。

多くの人が陥りがちなのは、仕事において日々に忙殺されて目標が設定できない・・・ということですが、それならば、まず仕事以外の側面でゴールを設定して、それに向かって活動していくことを実践してみてはいかがでしょうか。

目標は自分の秘め事にするつもりで考える

目標は誰かに宣言しないといけないとか、他人に言えないような目標は妄想でしかない・・・
というような考えを持っている人がおられるようですが、

ここまでお読みいただいた人には分かる通り、それは間違いです。

むしろ、他人にわかって貰う必要など1mmもなく、自分がこれと思ったゴールに突っ走ればいいわけです。

他人は過去から現在までのあなたを(それもだいぶ限定的に)見て、そして目標について評価をするかもしれません。しかし、そんな評価クソ食らえです。大事なのは未来のゴールを達成しているあなたですし、その未来のあなたはあなたしか知り得ません。

そういう意味で目標は自分だけの秘め事にするか、こういったコーチング理論を深くから理解したプロコーチにのみ伝えるというのがオススメです。

まとめ

今回は目標がないということで悩んでいる人に、「それでいいんだよ、目の前のことだけに集中しよう」という甘い言葉に注意が必要ということを解説いたしました。少しでも参考になりましたら幸いです。

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当サイト管理人 歌島 大輔

スポーツ整形外科専門医師

川崎市立井田病院
景翠会 金沢病院
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各非常勤医師

関東の複数病院において外来診療・手術を行っている。
ケガやスポーツ障害という「マイナス」から元通りという「ゼロ」を目指すのではなく、パフォーマンスに変革をもたらす「大きなプラス」を一緒に目指す情報発信やコーチング活動をライフワークとする。

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